一ノ蔵「酛摺り特別見学ツアー」

一ノ蔵「酛摺り特別見学ツアー」に参加したのでメモ。
生酛にフォーカスしたイベントは今回が初らしい。

教えてもらったこと

ツアーとしての説明の他、蔵で以前酛を担当されていた方や広報の方に直接質問した内容も。
詳しくいろいろと教えていただけた。

・吸水歩合は28%、摺るからと言って柔らかくする訳ではない。
酒母1日目は蒸米を5度くらいで半日くらい放冷して、その後水麹を品温6度、室温6度で仕込む。
・生酛は汲みかけしない。
・酛摺りをするのは酒母2日目、温度は引き続き6度。
・菌が増える速度に合わせて酒母の濃度(液化、糖化、浸透圧)を徐々に変えていくために酛摺りは時間を空けて4回に分ける。
・生酛は山廃に比べて濃度を人間がコントロールできるので再現性が高くなる。
一ノ蔵の場合、生酛の酒母に使う米は45kg、約1600L(4号瓶で約2200本)の酒が出来上がる。
・山廃はその3倍くらいの量を仕込む。
・生酛でも山廃でも酒母の日数は変わらない、摺るからと言って短くなる訳ではない。
・ヤブタは4台、銘柄(酒質)によって使い分ける。低アルコールで糖度の高いものは粕剥がししづらい。

雑感

酛摺りはやってもやらなくても乳酸菌は湧くという理解だったけど、菌が育つ環境をコントロールするための手段だというのは考えが及んでいなかった。
人間が介入して山卸しをすることで正しく環境をコントロールし菌育成の再現性を高めることができるというのは言われてみれば確かにそうだなと腑に落ちた。
時代の流れと技術の進化と回帰、とても興味深い。

山卸しをした場合と山廃を比べたときに、山卸しをすると米をすり潰す分雑味など味に影響は出る?と気になって質問してみたけど、特にデメリットにはならないらしい。
山卸しするにしてもしないにしても結局は酒母分の米はすべてドロドロになるから関係ないということなのだろうか。

写真

蔵外観。

資料。

酒母

山卸し。

枯らし室。

洗米。

浸漬。

醪。

上槽。

試飲。

お土産。
左から、
浦霞 山廃純米大吟醸 ひらの
一ノ蔵 生酛特別純米酒 耕不盡(こうふじん)
一ノ蔵 ひめぜん
一ノ蔵 熟成酒 招膳(しょうぜん)