日本酒造りは儲かるのか

総米量とかがわかれば蔵の収支が大体わかるのでは?と思い計算してみることに。
造り以外にあんまり興味がなかったから、酒造教本も清酒製造技術も販売に関わるページはきれいなままだった、初めて開いたかもしれん。

計算方法

基本的な計算方法は以下を参照。
これをベースに計算してみる。
前提として、これに出てこない収支には触れないことにする。

日本酒の事業構造について書いてみた #1|酒井優太 / HINEMOS|note

計算結果

まずは結果を。
細かい話は後述の製造計画にて。
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製造計画

醸造と販売の設計

面倒なので1種類のみをすべて1升瓶に詰めて販売しすべて売り切る場合として計算。
本来であれば吸水歩合ではなく、掛米は放冷後の歩合、麹米は出麹歩合を、麹歩合で合算するべきだけど面倒なのでキリ良くまとめて30%とした。
容器移動、追水、蒸発、分析、アル添、加水などでの増減は面倒なので計算しない。
醸造量は最低製造量(60kl)となるように設計。

・総米(kg) 25,000
・吸水歩合 30%
・汲水歩合 140%
・粕歩合 30%
・ボトル容量(L) 1.8
・ボトル小売価格 ¥2,500

醸造予測

上記仕込みで醸造量は60klとなり、1升瓶33,333本になる。
ちなみに酒造教本(第8章 製造計画)には本醸造60kl作るには白米26tが必要と書いてある。

支出

原価はよくわからないのでそのまんま鵜呑みにした。
人件費、その他の原料費(種麹、酵素剤、酵母、乳酸、水質調整剤、醸造アルコールなど)、ランニングコスト(重油代、電気代、設備投資や修繕費など)はここでは含んでいない。
それらや今回触れない収支はすべて粗利と合算。

・米(1俵60kgあたり) ¥14,500
・米以外の資材(1本あたり) ¥105
・酒税(1KLあたり) ¥110,000
・消費税 10%
・卸売マージン 13%
・小売マージン 23%

2022年現在の酒税(1klあたり)は、清酒は11万円、その他の醸造酒は12万円らしい。
昔からある清酒蔵よりも、WAK○ZEとかの方が税率が高い。
新参に厳しい…。

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酒税法等の改正のあらまし

収支予測

右上のグラフは、小売価格を100%として何にお金がかかっているのか内訳。
右下のグラフは、参考にしたNoteの記事で出てくるグラフに寄せた。

儲かっているのか

儲かってるかはさておき、売れる算段があるなら人を増やす、売れないなら家族経営に収束する、というのが現状なのではなかろうか。
お店に並ぶお酒1本の内訳を知るならまだしも、醸造量から収支を算出するってのはちょっと生々しい感じは否めないので、まぁこの辺で。